SDGsと健康経営

SDGsと健康経営健康経営実践

健康経営とSDGsの関連性について、今回はご紹介していきます。
SDGsは、持続可能でよりよい世界を目指すための国際的な目標です。持続可能な開発目標とも呼ばれ、エスディージーズ、と読みます。カラフルなアイコンを目にしたことのある方も多いのではないでしょうか?

健康経営は、企業と従業員が「持続的に発展」していくために取り組みます。

SDGsとのつながりを感じませんか?

SDGs

SDGsとは

持続可能な開発目標(SDGs)は、国際連合が2015年に採択した17の目標で、世界中の人々の生活を改善し、地球環境を保護するための行動計画として位置づけられています。目標期限の2030年までに目標を達成するためには、持続可能な開発のための資源と技術を最大限に活用し、包摂的かつ協力的な取り組みが不可欠です。

SDGsは以下の17の目標から構成されています:

1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられる街づくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
*青くハイライトした項目が、健康経営に関連する目標です。詳しくは後述します。

SDGsの目標を大きく分類すると
環境… 目標【6・13・14・15】
社会… 目標【1・2・3・4・5・7・11・16】
経済…目標【8・9・10・12】
の3つになります。
健康経営は、「社会」と「経済」に分類される目標に寄与する取り組みです。

健康経営が寄与する目標

では、健康経営はどの項目に関連するのか、具体的に見ていきましょう。

目標3:すべての人に健康と福祉を

従業員を対象に行う健康経営は、まさにこの目標に直結します。健康経営では、従業員が心身ともに健康で働き続けることができるように、ヘルスリテラシー向上機会の提供やメンタルヘルス対策、運動や食事、喫煙といった健康施策を行います。その実践を通じて、目標3の実現に貢献することができます。

目標5:ジェンダー平等を実現しよう

健康経営の取り組みの中には、ハラスメント防止施策(セクハラやパワハラ)や、女性への健康課題の対応(更年期やPMS、妊娠中の配慮等)、男性育休や有給休暇の取得促進、ワーク・ライフ・バランス施策などがあります。これらは従業員に対して性別を問わず持続的に働ける、成長できる環境づくりともいえますので、目標5のジェンダー平等にも寄与します。

目標8:働きがいも経済成長も

健康経営では、従業員一人ひとりが生き生きと仕事に取り組めるよう、心理的安全性を高めるコミュニケーション施策や、過重労働対策、疾病や介護、子育てなどの両立支援といった内容で、働きやすい環境づくりを進めます。さらに、働きがいと直結する「ワークエンゲージメント」向上の重要な要素である、健康やメンタルヘルス、睡眠といった項目にも取り組みます。働きやすい環境で、働きがいを感じながら業務を行うことで、労働生産性の向上や収益面の改善が期待されますので、目標8にも合致します。

目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

近年、投資先の価値やリスクを調査する「デューデリジェンス」において、人権を尊重することを求める「人権デューデリジェンス」の機運が高まっています。その中に労働安全衛生も含まれており、サプライチェーンの従業員の健康管理を含めた人権への配慮への関心が高まっています。健康経営度調査でも、サプライチェーンの健康経営の取り組み支援の有無が問われており、自社にとどまらないステークホルダーとのパートナーシップの提携が必要になってきています。

企業とSDGsの関わり

SDGs17の目標は相互に関連し合い、一つの目標を達成することが他の目標の達成にも寄与していきます。SDGsの達成には包括的な協力と努力が必要で、政府、企業、市民社会、NGO、国際機関など、あらゆるレベルの関与が求められています。企業活動の協力なくしては達成できない項目も多くありますので、企業としても前向きにSDGsに取り組むことが求められています。
そして昨今は「取り組まないデメリット」も露見してきています。
特に企業にとっての未来の人材となる学生や投資家は、企業のSDGsへの対応を注目する傾向が強くなっており、「何も対応していません」といった企業の姿勢はマイナスに映ってしまいます。

まず人材の視点です。近年の若者世代は学校教育を通してSDGsに関する理解促進、共感が進んでいます。SDGsを学び、社会へ貢献したいと考える若者世代が就職時に企業を選定する際に、SDGsへの取り組み状況を重視するようになりつつあるといわれています。
>参考記事:日本経済新聞 (nikkei.com) Z世代の意識調査 SDGsに取り組む企業を高評価 –
余談ですが、保育園児たちの間でも「SDGs17目標の覚え歌」がはやっていたこともあります。NHKの番組でとても人気の歌だったようです。

次に投資家の視点です。昨今ESG投資と呼ばれる、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)に配慮した企業に対して投資を行う投資家が増加しています。投資家からの信頼を得るうえでも、自社の製品・サービス、健康経営などの取り組みが、SDGsのどの目標に紐づいているのか、どのような社会に対する課題解決に役立ち、価値を生み出しているのかをWebサイトや会社案内などで開示することが推奨されます。
>参考:ESG(環境・社会・ガバナンス) | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI)ESGとは

企業にとってSDGsの取り組みを対外的に訴求しないと、採用活動やIRに悪影響が出る恐れがあるということですね!

そういったリスクはありますね。しかし、自社の製品・サービスがどのSDGsの項目に紐づくのか分からない、悩ましい、というケースも多いと思います。
そんなときは、健康経営を推進することで、対外的にも「SDGsに関連する取り組みをしている」と広報することが可能になりますよ。

ぜひ健康経営を実践するうえで、この施策はSDGsに当てはめるとどの項目に当たるのか、逆にSDGsの視点で健康経営を推進するのであればどういった項目が響くか、など様々な視点と柔軟な考えで、持続可能なより良い企業、より良い世界を目指していただければと思います。

参考書籍

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