職場のメンタルヘルス対策

メンタルヘルス

働く人の約6割が強いストレスを仕事で感じていると言われています。

「心の健康」も、健康経営の本幹にあるものです。今回は心の健康の現状と、職場での対処法についてお伝えします。

メンタル不調の三大要因

働くうえで感じる具体的なストレス三大要因について見ていきましょう。
〈ストレス三大要因〉
① 「仕事の質・量」
② 「仕事の失敗・責任の発生等」
③ 「職場の人間関係(セクシュアルハラスメントやパワハラを含む)」
*厚労省が実施している労働安全衛生調査の2021年実態調査結果より

①「仕事が多すぎる、難しすぎる」だけでなく、「少なすぎる、簡単すぎる」場合も人によってはストレスとなります。
②「ミスしてしまった、また謝らなくてはならない」といった誰もが感じるストレスもあれば、「責任のある仕事を任された」といった場合は、モチベーションになる場合もあれば過度なプレッシャーとなってしまうケースも考えられます。
③「人間関係」は、①②の状況を左右するほど影響があります。

良好な人間関係が構築できていれば、①仕事の質・量に関する問題を共有し、職場で解決策を検討できるでしょうし、②仕事の失敗や責任に関しても、ストレスを緩和する方法も見つけやすいでしょう。

コミュニケーションが取りづらかったり、ましてやパワハラ、セクハラのある職場では、強いストレスが積み重なり、メンタルヘルスに不調をきたしてしまうリスクが高まります。
職場での「いじめ・いやがらせ」が、労働局等に寄せられた、民事上の個別労働紛争・相談内容の中で突出して多い案件(2021年度86,034件)であることから、「職場の人間関係」が最も従業員のメンタルヘルスに影響があると捉えることができます。
なお、精神障害に関する労災補償は、年々増加傾向にあり、2021年度は請求件数2,346件、支給決定件数は629件と過去で最も高い水準となっていることから、今後もメンタルヘルスに関する対策は、どのような職場であっても求められるといえるでしょう。

メンタルヘルス 職場での対策

メンタルヘルス対策に職場で取り組む際の一般的な流れを紹介します。
まずは計画!
メンタルヘルス対策は短期間で完了するものではありません。中長期にわたり、継続した取り組みが必要です。
まずは自社の「心の健康づくり計画」や「メンタルヘルス対策計画」を策定します。そして、その内容を社内報やイントラネットを通じて社員に伝えることで、会社が社員の心の健康を気にかけている、という姿勢を示すことが第一歩です。

「計画」を立てるには、「現状把握」「問題点のあぶり出し」が必要になります。その時に活用できるのが「ストレスチェック」の結果です。
ストレスチェックは、現在は50人以上の事業場では実施義務、50人未満の事業場では努力義務、と労働安全衛生法で定められていますが、従業員の心理的な負担の程度や職場環境の傾向を把握し、効果的な施策を行っていくためにも、50人未満の事業場であっても実施されることを推奨します。
*ストレスチェックについてはまた別記事で紹介します。

次に、段階的な予防
メンタルヘルス対策は、一般的に一次予防から三次予防までの段階に分けて網羅的に行うことが有効だと言われています。

一次予防
不調を未然に防ぐことを目的としたメンタルヘルスに関するセルフケアの教育の実施、職場環境の把握・改善
二次予防
メンタルヘルス不調者の早期発見と、適切な対応に向けた管理職への教育・研修
・職場で長時間ともに過ごす「管理監督者」はメンタルヘルス不調者の早期発見・早期対応において 重要な役割を担っています。深刻化する前に早期対応できるよう、ラインによるケアが可能となる教育機会をここで行います。
三次予防
メンタルヘルス不調者の職場復帰や再発防止

具体的な取り組み事例

例えば、このような取り組みを段階的に行っていきます
↓↓↓
一次予防
■職場環境の改善とストレスマネジメントの向上
・ストレスチェックの実施と高ストレス者への面接指導体制の確立
・ストレスチェックの結果から、従業員の心理的な負担の程度および職場環境の傾向を把握する。
・高ストレス者が顕在化した場合に対応できるよう、医師による面接指導などの体制を整え、悪化を防ぐ。
・ストレスマネジメントの向上を目的とした全従業員を対象としたセルフケアの教育機会を提供する。

二次予防
メンタルヘルス不調者の早期発見・対応体制の確立
・社内で体制を整え、社内相談窓口を設置する。
・地域産業保健センター等の社外の専門的な機関と連携し社外の相談窓口も確立し、全従業員に周知する。
・従業員・企業・外部専門家の三者で連携し、効果的な支援ができる仕組みを作る。
・管理監督者による早期発見・早期対応を可能にするラインケア研修を行う。

三次予防
■メンタルヘルス不調者の職場復帰支援と再発防止
・不調者の円滑な職場復帰を目的に、医師等専門家の意見を踏まえながら、職場復帰支援プランの策定や関連規定を整備し、支援体制を確立する。
・業務内容や業務量の変更といった就業上の配慮も行い、再発防止に取組む。

専門家に頼ることも重要

メンタル不調者を出さないためには、同じ事業場で働く人全員が「心の健康問題」について理解することが重要ですが、専門家に頼ることも必要な場面も出てきます。
事業場が所属する都道府県の地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の事業主や労働者を対象として、メンタルヘルスに関しても総合的な情報提供が行われており、研修やセミナーが開催されています。メンタルヘルス対策促進員に直接事業場を訪問してもらい、相談機関等の情報提供や、メンタルヘルス対策に係る体制づくりをアドバイスしてもらうといった支援を要請することも可能ですので、対応に困った際はぜひ相談されてみてください。

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