健康経営優良法人とは?

健康経営優良法人認定制度認証制度

健康経営の中で有名な顕彰制度である、「健康経営優良法人認定制度」と「健康経営銘柄」について解説します。加えて、他にも存在する健康経営に関連するさまざまな評価・顕彰制度についても併せてご紹介します。

健康経営優良法人認定制度とは?

健康経営の推進をするにあたり最も分かりやすい目標が「健康経営優良法人に認定されること」です。認定を目標に取り組みを検討・推進されている企業も多いのではないでしょうか。

健康経営優良法人認定制度は、2016年度に経済産業省等によって運用が開始されました。
健康経営に取り組む優良な法人を認定によって「見える化」することで、社会的な評価が受けやすくなる環境を作り出してくれています。2022年度からは日本経済新聞社が運営を行っており、分かりやすいポータルサイト「ACTION!健康経営」が開設されるなど、露出が一層増えているように感じます。
2016年度開始当時は、認定法人数が318社だったものが、2023年の認定企業数は、大規模法人部門2,676法人、中小規模法人部門14,012法人と急拡大しています。8年で約52倍です、健康経営への関心の高まりが分かっていただけるのではないでしょうか。
さっそく「健康経営優良法人」に認定されるメリットを見ていきましょう。

健康経営優良法人に認定されるメリット

①社会的な評価が高まる・ロゴが使用できる
認定の事実を広報していく過程で、社会的な評価が高まっていきます。従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として認知されます。「健康経営優良法人」のロゴマークが使用できるため、ウェブサイトや名刺などでPRすることが可能です。

②今後の改善活動に活かせる
健康経営度調査の回答法人に対して「評価結果(フィードバックシート)」が個別に送付されます。自社の状況や改善点の把握ができるため、今後のPDCAに活かせます。

③金融面でのインセンティブがある
補助金申請時に加点等の優遇措置が受けられたり、融資で優遇利率が適用されたりといったインセンティブを受けることができます。

せっかく健康経営に取り組むのであれば、認定を取得してこれらのメリットを得たいです!

認定制度は中小企業でも取り組みやすいよう、部門が分かれていますよ。詳しく見ていきましょう。

大規模法人部門と中小規模法人部門の違い

健康経営優良法人は「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2部門で構成されています。応募にあたっては自社がどちらに該当するかをまず知ることから始まります。会社の形態や業種、従業員数によって区分が異なるため、申請の際は自社がどの区分に該当するのかを事前に確認することが重要です。
認定法人のうち大規模法人部門の上位500法人が「ホワイト500」、中小規模法人部門は「ブライト500」としてそれぞれ認定され、特別なロゴも使用可能になります。

【部門区分参考】
*詳しくはこちら(ACTION!健康経営サイト内資料)をご確認ください健康経営優良法人部門の区分大規模法人部門と中小規模法人部門は、認定フローや要件が異なります。

大規模法人部門と中小規模法人部門の主な相違点

■認定申請料:大規模法人…税込 88,000円/件 中小規模法人…税込 16,500円/件
■中小規模法人は申請前に「健康宣言事業」への参加が必須
■大規模法人が提出するのは「健康経営度調査」質問数約75問、中小規模法人が提出するのは「認定申請書」質問数約50問
■質問の大項目は同じ「①経営理念 ②組織体制 ③制度・施策実行 ④評価・改善 ⑤法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)」
■質問内容の主な違いは「①経営理念」と「②組織体制」に関する項目(役員クラスの関与、産業医保健師の関与等)

提出期限は、例年8月下旬から10月中旬、結果は翌年3月頃発表されます。
健康経営優良法人の申請手続きや認定基準は毎年変更されますので、最新情報は以下のポータルサイトでご確認ください。申請書のサンプルなども確認できますので、事前にどのような回答が求められるのかぜひ見てみてください。ボリュームの多さに驚かれるかもしれませんが、健康経営の取り組みのヒントにもなりますよ。

【参考サイト】
◆健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト「ACTION!健康経営」
◆はじめよう!「健康経営」 
◆健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)

健康経営の推進計画を策定する時に、調査票の質問項目に沿って検討すると良さそうですね!

「健康経営銘柄」とは

健康経営銘柄とは、長期的な視点により企業価値を重視する投資家に向けて「特に優れた健康経営を実践する魅力ある企業」として紹介される銘柄です。経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内の上場企業から選定します。「健康経営銘柄2023」には、31業種から49社が選定されました。

エントリーの条件(健康経営銘柄2023の場合)

■重大な法令違反等がない。
■健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内である。
■ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上または直近3年連続で下降していない企業を対象とし、ROEが高い企業には一定の加点を行う。
■前年度回答有無、社外への情報開示の状況についても評価し、一定の加点を行う。

結果は健康経営優良法人と同じく例年3月頃に発表されます。
健康経営銘柄は、健康経営優良法人よりも狭き門です。まずは確実に健康経営優良法人のホワイト500取得を目指し、その次のステップとして健康経営銘柄認定を目指すことになります。

そのほかの顕彰制度・インセンティブ

・「健康寿命をのばそう!アワード」
厚生労働省が実施するスマートライフプロジェクトの一環で、生活習慣病予防の啓発や、健康増進のための優れた取り組みをおこなっている企業・団体・自治体を表彰しています。
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・安全衛生優良企業公表制度
厚生労働省が認定する、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善している企業です。認定されると、認定マークを利用できます。
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・DBJ健康経営格付融資
日本政策投資銀行の「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付け」融資は、経済産業省の調査事業の一環として「健康経営格付け」の独自で開発した専門手法を導入した融資制度です。融資実行後、評価結果のフィードバックや健康経営促進に向けたサポートをおこなっています。
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・公共調達加点評価
健康経営優良法人の認定を受けている事業者に対して、公共工事・入札審査で加点評価を実施する自治体が増えています。

・健康経営評価融資制度
企業の健康経営への取り組み度合いを独自ツールで評価し、結果に応じて利用できる融資制度です。金利引き下げや健康経営促進の取り組みも行います。(広島銀行ほか)

・都道府県それぞれの認定・表彰制度
都道府県や市町村が独自に計画し、実施する認定、表彰制度が増えています。新潟市の「新潟市健康経営認定制度」や埼玉県の「健康長寿埼玉プロジェクト」など多様な取り組みが展開されています。

多くの顕彰・認定制度があって魅力的ですね。しかし、認定を取ることのみを目標にしてしまうと、形式的で中身の薄い取り組みになってしまう危険性があります。そうなると本来の目的が達成できません。健康経営は従業員のための取り組みであることを忘れないでくださいね。

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