ウェルビーイングとは
ーウェルビーイングと経営の関係ー
近年、日本の産業界や政治の世界において重要視されはじめている「ウェルビーイング(Well-being)」について、今回はお伝えします。
健康経営とも非常に親和性の高い概念ですので、健康経営を推進するにあたって、ぜひ念頭に置いておかれることをおすすめします。
ウェルビーイングとは、人々の身体的、精神的、社会的に良い状態を表します。
「健康」や「幸せ」よりも広い意味を持ちます。
企業が従業員のウェルビーイングに配慮することで何が起きるのでしょうか?
ここに興味深い調査結果があります。
といったことが、学術的なエビデンスとして得られています。
*データ参照:ダイヤモンド・オンライン なぜ「幸せな社員」は「不幸せな社員」より創造性が3倍高いのか?
こんなにも?と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません、私も驚きました!
ウェルビーイングが高い状態で働くことは、個人と企業の両方にとって多くの利点をもたらします。
幸せな従業員の定義にある「健康で精神的に良好な状態」、まさにその状態を後押しするのが、健康経営ですね。ウェルビーイングは健康経営より広い概念ですので、健康経営の推進によって、従業員のウェルビーイングを高めることができるといえます。
かつては精神論を抜きにした合理的経営が行われていた時代もありましたが、今の時代では従業員のウェルビーイングを考えない経営は、人権の侵害やハラスメントとなるリスクのほうが高くなっています。
企業が従業員のウェルビーイングの向上に焦点を当て、それをサポートするためのプログラムや施策の導入は、経営の持続可能な発展につながっていくことが分かっていただけるかと思います。
幸せな状態で働くことで、生産性・創造性が高まることが科学的に証明されています。
根性論で働く時代はとっくに終わっています!
幸せに働くためには?
経済学者ロバート・フランクは、他人と比較できる財を地位財、比較できない財を非地位財、と名付けました。
地位財は、金・物・地位などで、これらによる幸福感は長続きしない傾向があると言われています。
慣れや、より上を目指したくなる、といった人間の欲求が影響します。
一方で、非地位財は長続きする財です。心的、身体的、社会的に良好な状態、つまりウェルビーイングが影響すると言われています。
幸せは長続き、してほしいですよね。
では、働くうえでの「幸せ、ウェルビーイング」な状態について考えてみましょう。ウェルビーイングには「心の要因による幸せ」が関わっているという調査結果があります。
【幸せの4つの因子】
①「自己実現と成長」(やってみよう因子)
②「つながりと感謝」(ありがとう因子)
③「前向きと楽観」(なんとかなる因子)
④「独立と自分らしさ」(ありのままに因子)
これら4つの因子が満たされると、人は幸せだと感じるようです。
「とりあえず考えすぎずにやってみよう、なんとかなる!
私らしさを認めてくれてありがとう、幸せ!」
と思うには、自分自身の努力だけでなく、環境もポイントになりそうですね。
自分だけで達成できる因子もありますが、環境によって左右される因子もあります。
出る杭は打たれるような職場環境だと、やってみよう!と思えなくなるでしょうし、
自由に発言できないような風通しの悪い職場だと、ありのままに振舞うことは難しいでしょう。
「幸せに働くには?」
簡単に答えは出ない問いではありますが、ウェルビーイングと健康経営の視点で改善に取り組むのであれば、
- 精神面:メンタルヘルスに関する対策、組織環境の改善、心理的安全性、働き方や休み方など
- 身体(健康)面:健康診断の実施とフォロー、食生活フォロー、食育、運動促進施策など
といったテーマで改善に取り組むと、働く人々の幸せ度向上に貢献できるのではないかと思います。
これらの具体的な取り組みについてはそれぞれまた別のコラムでお伝えしてきます。
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